「同意して送ってしまった…」開示同意後の流れと交渉のポイント

意見照会書への開示同意を送付してしまった後、「これからどうなるのか」「どう対応すればよいのか」という不安を抱える方は少なくありません。本記事では、開示同意後の一般的な流れから交渉のポイント、よくある疑問まで弁護士の視点から整理します。
同意後に起こりがちな流れ(一般的イメージ)
権利者や代理人からの連絡・請求
開示に同意すると、通常1〜3ヶ月程度で権利者やその代理人から連絡が来ることが多いとされています。最初の連絡方法は郵送による書面が一般的で、以下のような内容が記載されることがあります:
- 著作権侵害の具体的な内容
- 損害賠償請求の金額
- 示談による解決の提案
- 回答期限(通常2週間程度)
開示同意後の一般的な流れ
金額の読み方と減額ロジック(一般論)
作品数/配信元/態様/支払能力の要素
請求される損害賠償額は、以下の要素を総合的に考慮して決定されることが多いとされています:
金額に影響する要素
- • 対象作品の数
- • 作品の市場価値
- • アップロード期間
- • ダウンロード数の推定
- • 配信サイトの規模
減額を検討する観点
- • 請求根拠の妥当性
- • 実際の損害の立証程度
- • 支払能力との比較
- • 類似事案との比較
- • 早期解決による減額
一般的に、アダルト作品1本あたり30〜40万円の請求が多く見られますが、これがそのまま適正な損害額とは限りません。個別の事情を詳しく検討し、適切な減額交渉を行うことが重要です。
交渉を有利に進める基礎(記録・窓口一本化)
効果的な示談交渉を行うためには、以下の点が重要です:
交渉を有利にする準備
- • 全ての書面・連絡記録の保存
- • 時系列での事実整理
- • 弁護士による窓口一本化
- • 感情的な対応の回避
- • 適切な法的主張の構築
特に窓口一本化は重要で、弁護士が代理人となることで、権利者からの直接連絡を避け、冷静な交渉環境を作ることができます。
分割・支払方法・示談書の確認ポイント
示談が成立する場合、以下の点について慎重に検討する必要があります:
支払方法について
- • 一括払いが原則だが、分割交渉は可能
- • 分割回数や支払間隔の調整
- • 遅延損害金の取り扱い
- • 支払い困難時の対応
示談書の重要条項
- • 対象作品の特定
- • 今後の著作権侵害行為の禁止
- • 守秘義務条項
- • 清算条項(他に請求しない旨)
長期化しやすい場面と対応(メンタル負担の軽減)
示談交渉は数ヶ月から1年以上かかることもあり、精神的な負担が大きくなりがちです。長期化する理由と対処法を理解しておきましょう:
長期化する要因
- • 金額についての大きな開き
- • 複数作品・複数権利者の関与
- • 支払能力の問題
- • 事実関係の争い
負担軽減の方法
- • 弁護士への完全委任
- • 定期的な進捗報告
- • 現実的な見通しの共有
- • プライバシーの保護
よくある質問
「自宅に郵送されないようにできる?」
弁護士に示談交渉を依頼した場合、権利者からの連絡は全て弁護士事務所が受けることになります。依頼後は、ご自宅に直接書面が送付されることはありません。プライバシーの保護も徹底いたします。
「複数作品は一括で合意できる?」
複数作品についても、一括での示談が一般的です。作品ごとに個別に交渉する必要はなく、包括的な解決を図ることで、手続きの簡素化と費用の節約が可能です。ただし、権利者が異なる場合は個別対応が必要になることもあります。
「示談しないと必ず訴訟になる?」
必ずしも訴訟になるわけではありません。権利者側も訴訟にかかる時間や費用を考慮し、合理的な範囲での示談を希望することが多いです。適切な交渉により、双方が納得できる解決を図ることが可能です。
「分割払いはどこまで可能?」
分割払いについては、権利者との交渉次第ですが、通常3〜12回程度での分割が検討されることが多いです。支払能力や示談金額を考慮し、現実的な支払計画を提案します。遅延損害金の有無についても併せて交渉いたします。